痩せるコーラ

自分が考えている事をまとめます。毎週木曜21時更新(予定)

なぜ医療界の女性差別は必要悪だと思われているのか

 東京医大の不正入試が話題ですね。

www.asahi.com

「女性と3浪以上が合格できないようにコッソリ点数を操作していた」
とかいう闇。

現状、医学部の入試=医者の採用試験
なので、結果的に
「女性は医者になるな!」
という差別をしていた事に。

こんな露骨な差別イカンでしょ…。

と思ったら、
現役女性医師の半分以上は
「これは必要な差別。必要悪。」
と回答。

snjpn.net


点数操作に理解を示している女性医師の意見を集約すると、こんな感じ。

  1. コッソリ女子の点数を減点していたのはダメ。
  2. だけど、ぶっちゃけ男性医師がいないと現場は回らない。
  3. 周囲の理解や協力がないので、出産・育児が極めて難しい。
  4. 生半可な覚悟の女性は医者になんてならない方が良い。
  5. なので今回の点数操作は必要悪。

闇がドス黒すぎる…。

なんで、こんな状況になってるかというと
医療現場が過酷すぎるから。

過労死寸前の状態で御医者様は働いている。

なぜ、このような救いのない状態なのか。
以下の順で説明する。

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1:そもそも医者の数が少ない

医療現場の仕事がキツイ一番の原因は
単純にマンパワーが足りないから。

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4割が赤字、病院経営の実態と対策 | SPEEDA

例えばOECD諸国の平均の医師は
一日に平均10人を診察している。

対して日本の医師は
欧米の3.5倍。
つまり一日に平均35人も診察している。

35人って…。
一人あたりの診察時間が10分だとしても6時間かかる計算。
道理で3時間以上待たされるわけだ。

一日8時間勤務だと殆ど治療行為できないじゃん。

また、日本全国に整形外科医は約17,000人いるが
整形外科を標榜している病院は約5,000病院。

計算すると全員がクリニックを開業してなくて病院勤務だとしても
1病院あたりの整形外科医の数は3~4人くらい。

(↓特に女性が少ないと言われてる診療科)

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専門医の現在数|各種データ|社団法人 日本専門医制評価・認定機構


つまり3人で整形外科に診療に来る患者や入院患者の治療を回してるという事。

私も交通事故で骨折した時に
大学のキャンパスかよ!ってくらいの大病院に行ったが
整形外科医が全員で5人しかいなかったので多分、肌感覚的に正しい。

しかも24時間稼働している必要アリ。
無茶でしょ。

家の近くの11時~19時の定休日月曜の喫茶店でも3人くらいスタッフいるんだけど…。

忘れないで欲しいが、これは一般病院の場合で
クリニックも合わせると整形外科は約13,000箇所ある。

つまり1施設あたりの整形外科医は1~2人くらい。
ワンオペかよ。

更に小児科の場合は以下の通り。
医者の数:約15,000人
施設の数:約23,500箇所

病院+クリニックの数が医者の数を上回ってるやんけ!
どういうことだってばよ!

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これは開業医が病院勤務を兼務しているという事。
ワンオペ以下だった…。

世の中に騒がれたすき家以下の労働環境があったとは。

“ワンオペ”で叩かれた「すき家」のいま (1/2) - ITmedia ビジネスオンライン

整形外科医と小児科医等の激務の専門医は
マジで24時間365日の勢いで働いている。

こんな状態で女性に出産・育児等で離脱されたら困る!
せや!男ばっか採ればいいんや!

という感じで女性差別が横行するように。
これが「必要悪」か…。

救いがなさすぎる。

何故、こんなに病院一つにいる医者が少ないのか。


2:病院の数が多すぎる

なぜ病院一つにいる医者が少ないのか。

答えは単純に「病院の数が多すぎるから」。

どれくらい多いかというと
他の先進国の2倍~3倍くらいある。

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これが原因で専門化・集約化されず
新しい機器の導入が諸外国に比べて非常に遅れていると言われている。
実際、大学病院行くとクソボロいし

なんでこんだけ病院多いんだ…?。

主な原因は以下の通り。

  • 医局中心で病院が出来る
  • 初診料、再診料が安すぎる
  • 厚生労働省と医師会の方針

・医局中心で病院が出来る

日本の病院の7割は医局、つまり各大学の系列の病院。

○○大学系列の病院が至るところにあるのはそのせい。

で、この○○大学系列というやつが非常に縦割りで以下のような問題を起こしている。

A大学病院医師の数が足りない。このままだと撤退しかない」
B大学病院医師の数が足りない。このままだと撤退しかない」

病院がある自治体「合併すれば効率的なんじゃないすかね。」

A大学病院「B大学と一緒にやれるわけないだろ!いい加減にしろ!」
B大学病院「A大学と一緒にやれるわけないだろ!いい加減にしろ!」

病院がある自治体「」

う~ん。半沢直樹的派閥ムーブ。
医局のクソさを知りたかったら医龍等を読もう。

医龍(25) (ビッグコミックス)

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こんな感じで病院同士の統合等が進まずに
各大学系列の病院が乱立しまくり。

で、人材と機材が散っていて、満足な治療が出来ない。

でも一般市民は
「○○大学系列だから安心!」
と言って、ほっといても来る。
う~ん。この


・診察料が安すぎる

日本の外来患者さん一人当たりの診察料の平均は、日本が7,000円。
で3割負担とかだから2000円とかで診察できる。

対して、他の国の診察料は。
米国は約6万円。
スウェーデンは約9万円。

日本が極端に安すぎる。

なので病院経営者は儲けるために
たくさんの外来患者を受け入れるのである。

薄利多売ですよ。
だからいっぱい病院が必要。
色んな地域の人に来てほしいからね。
コンビニみたいな。
(実際、コンビニ診療と言われている)

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診察料が高い他の国は別に薄利多売しなくていいので
完全予約制で外来制限をしている。

「患者の方が俺たちのほうに来い!」
という意識なので、病院はアクセスの良いところに一個あればよい。
デパートが全ての駅前にないみたいなもんね。

ただフィンランドとかはこんな感じのせいで
予約とっても数か月待ちとか。

www.rhythmoon.com

数が月も待ってたら、病状悪くなるんじゃ…。


・厚生労働省と医師会の方針

実は病院のベッドの数って厚生労働省で基準が決められてるんですよ。
ベッドの数と病院数は相関してるのでこれが病院の数を実質決めている。

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これを超えるように病院を作ってはならないという規制なんだけど
この基準の数が多すぎる。

どんな計算で出してるのかというと

  ( (人口) * (退院率) * (平均在院日数×0.9) + (流入入院患者) - (流出入院患者) ) / (病床利用率)

こんなガバガバ計算式で決まってる。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zc42-att/2r9852000000zc7d.pdf

一応、年々厳しくしていってるんだけど、
医師会が政治家に献金しまくってるから、なかなか減らないんだよね。

まぁこの医師会が
「日本に医者が多すぎる」
って言って医学部の定員減らしたんだけど。


では具体的に
1つの病院あたりの医者の数を増やすためにはどうしたら良いのか。


3:海外の事例と解決法

1病院あたりの医者の数増やすためには、どうしたら良いのか?

以下の対策がある。

  • 外来制限を設ける
  • 診療科に定員を設けて、集約する
  • 単純に医者の絶対数を増やす

・外来制限を設ける

欧州みたいに
「患者の方が俺たちのほうに来い!」
という姿勢で病院を統廃合。

「病院に来るだけじゃ診察しない!予約しろ!」
という姿勢で患者を数か月待たす。

今すぐ診察してほしかったら
欧州のように金を積め!

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万事解決!

ってならないよね…。
どう考えても。

金を積まないと医療を受けられないかもしれないって
絶対、法の下の平等に反するとか言って裁判になるでしょ。

あとこれだと地域医療死にそうだよね。

却下だ。却下。


・診療科に定員を設けて、集約する

ドイツの医療制度は「専門医の定員制」。

ドイツでは各科専門医の定員は、地域ごとの店員が決められている。

www.medi-gate.jp

なので「専門医」が開業する場合、
都市部に空きがなければほかの地域で開業するか、家庭医になるか、諦めるか。

日本と違って医師の自由意思による○○科のクリニックを開業できない。

家庭医って何か?っていうと
ドイツの場合、まず家庭医に診てもらってそれから専門医に行く。

つまりいきなり眼科とかにはいくんじゃなくて
家庭医に書類貰ってから行くのが通常のルート。

で、この家庭医も数を抑制しているので
病院で勤務する医者の数を一定に保てるというカラクリ。

また専門医の集約も進めていて
例えば心臓外科の病院数は
日本が約600病院に対し、ドイツは約80病院。

これで高度な人材や機材も集中して投資できる。

よっしゃ日本も病院の8割くらいを潰そう!
これで高度な人材や機材を集約や!

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万事解決!

ってならないよね…。
どう考えても。

一般大衆は「病院が沢山あって便利」って絶対思ってるから
家の近くの病院が潰れたら人権問題化して反対するじゃん。

却下だ。却下。


・単純に医者の絶対数を増やす

もう構造改革難しいから医者の数を倍くらいにしようぜ!

そもそも欧州に比べて医者の数が少なすぎるんだ。
医学部の数を倍にして医学生を倍増させよう!

早稲田大学医学部爆誕や!

dot.asahi.com

万事解決!

ってならないよね…。
どう考えても

だって人数倍増すると単純に考えると医療費も倍増するじゃん。

政府的には医療費を抑制する流れだから
医者の給与を半分以下にさせて解決させそう。

あと絶対、医師会が医学部増設に反対するでしょ
加計問題で似たような事象見たし。

却下だ。却下。


う~ん。どの解決策も微妙ですね…。


4:まとめ

解決策のどれも現代日本で行うには難しすぎる。

そもそも日本は公的な仕組みで医療が成り立っているのに、
医療を提供する病院の多くが民間というイビツな状態なんだよね。

だからこんな拗れた事に。

というかまず、医局を滅ぼさないと…。

誰がこんな複雑な状況を変革出来るのか…?

一応政府も病院減らそうと頑張ってるけどなぁ…。変革スピードかなり遅い。

www.nikkei.com

劇的に変えるにはベネズエラのチャベス大統領レベルの独裁パワーでなんとかするしかないのでは。

う~ん無理そう。

でもなんとか解決しないと
女性差別=必要悪
の構図から抜け出せないぞ。

こんな日本の恥の女性差別とか早く捨てたい…。
どうすりゃいいんだ…。

どう考えても女性多いほうが色々良いでしょ。

と思ったけど、10年くらい前に性病にかかった時に
家の近くの病院行って、診察しに行って診察室に入ったら
若い女性の先生で

女医「ハイ、じゃあチ○コ見せて」
ワイ「え…!?あ…はい…」
女医「ちょっと触るね」

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女医「はい。終わった。お大事に」
ワイ「」

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流石にこの時は男の先生のほうが良いと思いました。

文庫 性病の世界史 (草思社文庫)