核廃絶運動が逆効果だったのは本当なのか
太平洋戦争が終わってからもう73年ですね。
もう終戦当時に大人だった人たちも
あんまり生き残ってない時代になったんだなぁと。
私が子供の時は戦争で片腕を無くした同級生の祖父とかが
授業参観とかに来てたものだけど。
子供の時から
広島・長崎の原爆投下の日から終戦の日までのニュースは
「いつも変わり映えしねーな」
と思っていた。
(対して特集は毎回見応えある)
だけど今回は少し違った。
国連のグテーレス事務総長が「長崎原爆の日」の式典でスピーチしてた。
「長崎原爆の日」の式典に国連事務総長が参列するのは今回が初めて。
なんで今回、国連事務総長が長崎に来たのか?
それは「核兵器をめぐる世界の現状が非常に厳しいから」
北朝鮮とかイランとか核兵器持とうとしているし、
アメリカとロシアは、再び核兵器を増やそうとしているし。
なぜ、こんなことになってしまったんだ?
結論からいうと
「核兵器の恐怖を訴えれば訴えるほど、
恐怖の対象としての「核兵器」の価値が高まり、
各国が核兵器を持ちたがるから。」
どういうことか、以下の順で説明する。
1:核兵器廃絶運動の功績と失敗
つい10年くらい前までは核兵器廃絶運動はそれなりに上手くいっていた。
暗礁に乗り上げたのはここ数年。
だから慌てて核廃絶運動にノーベル平和賞上げたり、
国連事務総長が演説したりして必死。
じゃあ過去はどうやって上手くやってたかというと
以下のような主張をしていた。
核廃絶団体「核兵器のボタンを押すと自分の国も相手の国も灰になっちゃうんやで。」
核廃絶団体「こんなのどっちも勝つことはないし、割に合わないっしょ。」
核廃絶団体「割に合わない兵器持ってても金かかるだけで無駄。」
う~ん美しい論理。
これで米ソもキューバ危機などで命の危険を何度か感じたため
保有する核兵器を減らしたり、これ以上拡散しないようにした。
しかも核兵器を持つ最大の理由だった冷戦も
ソ連の崩壊によって終了。
これで90年代中ごろまでは、世界からどんどん核兵器が無くなっていった。
よっしゃ!これで世界から核は完全になくなる!!!
とはならなかった…。
90年代後半あたりから
新たにインド、パキスタン、北朝鮮が核保有を宣言。
イスラエル、イランなども保有を否定していないので多分持ってる。
しかも削減したと思ってた核兵器削減の現実は
「ミサイルの頭についてる起爆装置を外しただけ。」
というものだった。
ガバガバすぎませんか。
また上に戻せば使えるらしいぞ。まぁすぐ使えない事に意味あるから…
正直、アメリカやロシアよりもパキスタンとか北朝鮮のが核使いそうだし
むしろ状況悪くなってない?
なぜ各国はこんなに核兵器を持ちたがるのか?
2:なぜ核兵器を持つのか
核兵器は使ったら都市どころか国が消し飛びかねないクソ兵器。
そんなこと世界中の人々は分かっているわけで。
じゃあなんでみんな、核兵器を持ちたがるのか。
理由は以下の通り。
- 核兵器が安くて便利だから
- 核があれば「大物扱い」されるから
- 持ってる国が信用できないから
・核兵器が安くて便利だから
ぶっちゃけ、長距離弾道ミサイルじゃなければ
核兵器は100万円もあれば作れる。
考えてみて欲しいが、核は80年前にはもうこの世にあった。
現代だと高校生も核融合炉を作れる。
世界の人々は「核=世界を滅ぼす闇の力」
だと思っているで、数百億円くらい投資すれば
立派に世界をビビらせる核兵器が出来る。
国の軍事費が数千億円~数兆円だと考えるとメッチャ安い。
こりゃみんな持ちたがるわけだ。
・核があれば「大物扱い」されるから
なんで北朝鮮がリビアと違って、攻め滅ぼされないのか?
というと、欧州から遠いなどの地理的条件もあるが一番は
「北朝鮮が核を持ってるから」
と言われている。
世界の人々は核兵器が怖いので
核兵器を持てば、力がない国もアメリカやロシアなどの
超大国を脅すことが出来る超強力な交渉カードを手に入る。
核兵器を持てば攻め滅ぼされないし、
有利な条件で外交が出来る。
こりゃみんな持ちたがるわけだ。
・持ってる国が信用できないから
今、韓国だと核武装論が広がりを見せている。
韓国国民の7割が「戦術核再配備」に賛成という現実。
なんでかというと
今まで核の傘で守ってくれてたアメリカが信用できなくなったから。
今、韓国は中国への経済依存度が非常に高く
中国と対決したいトランプ政権にとっては余り心地よい存在ではないのだ。
これを韓国人も感じており、
「アメリカ信用できないから核持とうぜ!」
と言っている。
で、サウジアラビアとかが核持ちたがるのもこれ。
欧州もなんだかキナ臭いので英仏次第ではもしかしたら
新たに核持つ国も出てくるかも。
つまり
「今まで核兵器持ってた国々に頼ってたけど、信用できないから自分で持つぜ!」
という選択肢がベターになってきたということ。
これで敵国をビビらせて、安全保障や!
こりゃみんな持ちたがるわけだ。
ここまでの核兵器を保有する理由に共通する背景がある。
それは世界中の人々が「核兵器が怖い」と思っていること。
3:核兵器が怖いから核兵器を持ちたがる
たとえ核兵器を超える超強力新兵器が出てきても
その怖さを相手が理解できない場合、あんま意味ない。
なんでかというと相手が怖さを充分知らないから。
その点、核兵器がヤバイ兵器であることは世界中の人々が分かっているので
非常にコストパフォーマンスが良い。
つまり、核廃絶団体が核の怖さを訴えれば訴えるほど、
その意図に反して、各国が核を持つ理由が出来るカラクリ。
米大統領・広島へ:/上 「核なき世界」高い壁 国際情勢、楽観許さず - 毎日新聞
必要悪だってことは誰だってわかってるんだから
人道的正しさを訴えても意味ないんですよ。
上から目線で話しない方が良い。
しかも、年々その恐怖はインターネットの発達などで
世界中の人々に周知されてきている。
そうなると超大国に攻め滅ぼされるかもしれない国からすると持つよね。そりゃ。
しかも冷戦以後、地域のバランスが崩れて不安定になったところが多いので
緊張がある地域が増えた背景もあり、核兵器の重要性は高まってるわけですよ。
結果的に以前に比べて核の地域的な使用が現実的になってきてしまった。
アメリカも「使える核兵器」を配備するらしいし。
どうしてこうなった…
4:まとめ
今、核廃絶団体が
「核兵器はこんなに酷い兵器なんです!」
と人道的に訴えているが、
正直、現在の世界情勢だと意味がないどころか逆効果、と言わざるをえない。
世界各国の政府は自分のところに核を撃たれたくないから核を持つ。
紛争地域が乱立してきているので核が拡散する。
核廃絶団体もこの事が分かってきているので
最近は
核廃絶団体「テロリストなどに核が渡ったら大変なことになる!」
核廃絶団体「だから全世界から核をゼロにすれば解決!」
という主張に切り替えている。
ただこれも
「テロリストが核を持ってて、こっちが持ってない場合どうすればいいんだ?」
という疑問への回答がない。
今んところ、これはアメリカ・ロシア等が手を組んで対応して、水際で防いでいるが
いつ何が起きるかわからない。
CNN.co.jp : モルドバでウランなど核密輸を3度阻止、米FBI支援で - (1/2)
トランプ的には
「イスラム国の支配地域に核をぶちこんで全員抹殺や!」
というパワープレイを提案しているが…。
富野アニメ的思考かよ。
う~ん。核兵器を無効化するガンダムSEEDのNジャマーみたいの出ないと
核兵器を完全にゼロにするのは無理じゃね。
核保有した場合のデメリットが少なすぎるんですよね。
今、国連の影響力が低下してるから国際的に武力制裁される可能性も依然よりもずっと低いし。
経済制裁も足並みそろわねーしな。
沈黙の艦隊みたいに国を超えた潜水艦艦隊が核保有した瞬間に核攻撃!
みたいな神の鉄槌ライクなデメリットがないと核兵器捨てねーよな。
まぁでも現実の潜水艦はどっかの国に所属してるしなー。
どこかに核を持つ人類に罰を下してくれるような生物いないかn…