聖闘士星矢でわかるイラン反政府デモが訴える不満
イランの反政府デモが話題ですね。
日本だとあんまり報道されてないけど、
CNNとかBBCだと北朝鮮よりトップニュースになってたりする。
日本のニュースは相撲の話題多すぎんよ。
で、みんなが思う疑問。
そもそもイランの人たち何に怒ってんの?
報道量もかなり少ないので、
イランで何が起きているか、わかりづらい。
そこで、イランの人たちの不満を以下の点で
聖闘士星矢を交えつつ解説する。
1:仕事がなくて給与が安い問題
まずイランの人口は年々増えている。
人口の60%近くが若者らしい。
(↓イランの人口の推移)
また女性の社会進出が進んでいるため、
就業者人口が年々3~4%ずつ増えている。
しかし就業者人口は増えても仕事は増えない。
なので失業率は高いままである。
(↓イランの失業率の推移)
またイランは他の中東の国に比べて教育環境が整っており、女性を含めた国民の教育水準は高い。
(↓イランの働く女性。イスラム教なので顔を見せられない)
しかし、高学歴な人を受け入れることが出来るだけの仕事はなく、肉体労働や単純作業の求人ばっかり。
つまり「雇用のミスマッチ」が起きている。
どっかで聞いた話ですね。
なんでイランの企業は高学歴な人を受け入れることが出来ないかというと以下の不安材料があるから。
・原油価格下落
イランの産業といえば石油。
海賊と呼ばれた男とかが開発した油田がイラン各地になる。
しかし原油の価格はここ数年、低迷しており、
イランだけではなく石油産出国は儲かっていない。
(↓原油価格の推移)
特にイランは設備が古く、他の国よりも掘るコストが高いらしい。
なので一段ダメージが大きい。
(↓イランの石油掘削設備と同じくらい古い聖闘士)
じゃあ新しくすれば良いじゃん!童虎も若返ったし!
と思うが、それが上手くいってない。
・アメリカの経済制裁の再開
2016年までアメリカはイランに経済制裁していた。
しかもトランプ大統領は経済制裁を再開しようとしている。
(まだするつもりないらしいけど)
米大統領顧問、トランプ氏に対イラン制裁の再発動回避を提言=高官 | ロイター
アメリカが経済制裁するということはヨーロッパや日本もイランに金が突っ込めない。
つまりこういうことになる。
イラン企業「原油価格下落しているから、もっと効率的に石油を掘りたい。」
イラン企業「でも金がないせいで設備が古くて効率化できない!!」
イラン企業「そうだ!欧米に投資してもらおう!」欧米企業 「経済制裁中だからできませーん!」
イラン企業「」
実際、数年前まではこんな状態だった。
今もいつ経済制裁が再開されるかわからないので
欧米企業は投資するのを躊躇している。
(↓再び経済制裁されても問題ないと言い張るイラン企業)
こんな状態なのでイラン企業は回復傾向にあるものの低調。
そこからはいつものお決まりのコース
イラン企業「せや!従業員の給料下げたろ!」
イラン企業「せや!若者新規雇用減らしたろ!」
しかもそんな状態で制裁による物資不足で価格が高騰。
イラン国民「ふざけんな!こんなにモノが高い状況なのに、こんな給料で生きていけるわけないだろ!」
どっかで聞いた話ですね。
これはイラン市民ブチギレますわ。
日本だとここで安倍首相とかを批判するところだが
イラン市民は政府に助けを求めることは出来なかった。
2:投票したい候補者がいない問題
イランには自民党や民進党のような大きな全国政党は実質存在しない。
しかし大きく2つに分かれてて
- 「イスラムの伝統を大切しようぜ!!!だから庶民たちは言うこと聞け!!」
という保守派(シンボルカラー:黄色) - 「イスラムの伝統とかいうエリート支配なんてクソくらえ!!これからは庶民の時代だ!」
という改革派(シンボルカラー:水色)
という2大勢力がある。
(↓保守派の筆頭の最高指導者ハメネイ師)
で、この2大勢力が主に選挙で戦うわけだが、
議会290人に対して1万2千人くらいが立候補するらしい。
でも最終的に本選に出るのは1万2千人から絞られて1100人くらいになるとか。
え、誰がこんなに絞ってんの???
答えは「監督者評議会」
6人のイスラム法学者からなる組織。
法学者っていうのは大司祭みたいなもん。
(↓監督者評議会の面々 最高指導者が選ぶ)
このイスラムの伝統から生まれた組織が、イスラムの伝統に沿わない候補者を排除している。
そして改革派が不利で、政府の都合の良い候補者ばっかになるのである。
つまり最終的に選挙する際に
イラン市民「現状に不満あるから改革派に票を入れるぞ!」
候補者A 「政府の言うことは全て正しい」
候補者B 「イスラムこそ全て。なので政府が正しい」
候補者C 「経済がヤバイからイスラムの伝統とか無視して海外から投資を呼び込みたい」イラン市民 「お!候補者Cええやん!こいつに入れたろ!」
監督者評議会「候補者C失格!」
監督者評議会「候補者Aか候補者Bから選べ!」
候補者A 「政府の言うことは全て正しい」
候補者B 「イスラムこそ全て。なので政府が正しい」イラン市民「入れるところないやん…」
(↓有力な候補者が消えて当選した保守派のデスマスク)
という事態になってる。
これはイラン市民キレますわ。
さらにコレをすり抜けて改革派が議会で法案を通しても
監督者評議会は法案を拒否できる。
つまりこういうこと。
改革派議員 「よっしゃ!議会で改革法案通したぜ!!」
改革派議員 「これでイラン経済も良くなる!」監督者評議会「はい、その改革法案無効ね!」
改革派議員 「」
(↓法案を差し戻す評議会議員)
詰んでるやんけ!!!
これはイラン市民ブチギレますわ。
3:払った税金を政府が外国にあげちゃう問題
でもそんな政府も税金で生活困窮者をなんとかしようとしてくれるんでしょ?
残念ながら、その税金の多くは今イランは外国に渡している。
現在、イランはサウジアラビアと絶賛喧嘩中であり、中東の覇権を争っている。
なので周辺国のイラクやシラクなどでサウジアラビアで代理戦争をしており、その地域に金を突っ込みまくってる。
カタールの断交はそんな綱引きの中起きた出来事。
そんな状況なので、生活困窮者はブチギレた。
「外国に税金渡すくらいなら、俺たちに使ってくれや!!!」
どっかで聞いた話ですね。
しかしイラン政府は隙を許せばイラクのように滅ぼされて終了というのがわかっているので手を抜けない。
アメリカが悪いよーアメリカが。
(↓イランに侵攻しにきたサウジアラビア派の兵士)
4:最後に
なんでイランで反政府デモが起きたのかというと
正直これしか不満を挙げる方法がないから。
監督者評議会とかいうジェダイ評議会なみの害悪。
で、先日デモが鎮圧されたらしい。
jp.reuters.com
逮捕者が3700人に上るとか。
留置所足りるんすかね。
(↓デモ参加者の一斉検挙)
しかし、こんだけ大規模のデモを起こされたら、
さすがにイラン政府も少しは政策転向するっしょ。
生活困窮者も救われるといいね。
最高指導者「デモはアメリカやサウジアラビアの陰謀だ!」