BLEACHでわかる中東カタールの断交
この間、カタールが他の中東の国から断交された。
あまりにも唐突なのでビックリした人も多い。
そもそもカタールってどこよ?
わかりづらいが場所はココ。
命を刈り取る形のアラブ半島のペルシャ湾で中心的ポジションにある国。
首都はドーハ。
ドーハの悲劇で有名なところ。
面積は茨城県と千葉県を合わせたくらいしかない。
人口は200万人。名古屋市よりもちょっと少ないくらい。
え、こんな小さな国に対してなんで中東がよってたかってフルボッコなんだ?
という疑問を抱く人も多いだろう。
この疑問を解決するためにオシャレ漫画「BLEACH」を交えながら説明していこう。
1:中東の理想郷、カタール
カタールの主な産業は例にもれず石油。
しかしこの国には他の中東諸国にはない強い産業がもうひとつある。
それが巨大マスメディアの
アルジャジーラ。
タリバンとかアルカイダとかの主張を放送するCNN並の権威ね。
石油でめっちゃ儲けた金で巨大メディアを作ったのだ。
アルジャジーラは全ての事において中立な報道をすることを信条にしており、
色んな人種や宗教の人が働いている。
このおかげで周りの厳格なイスラム教の国とは一線を画している。
例えば周りの厳格なイスラム教の中東の国は
- 女性は外に出んな!車運転すんな!
- 外国人でも酒飲むな!
- 国王の独裁なんだから国王のいうこと聞けや!
と、このような主張が普通。
一方、開放的なカタール以下のような主張が一般的。
- 女性も車運転して良いし、仕事しても良いよ
- 外国人は酒飲んでも良いよ
- いくら国王による専制主義でも国王が無能だったら追放しちゃって良いよ
と、このように他の国より全然住みやすそうである。
なんだ、ユートピアじゃん。
2022年のサッカーW杯開催もこのような点が評価されて勝ち取った。
しかし、これはカタールの表の顔である。
カタールの裏の顔、それは…。
(↓ カタールの表の顔)
2:アラブの春の黒幕
ご存じだと思うが
2010年のチュニジアの民主化革命から始まったアラブの春は以下の問題を引き起こした。
民主化を目指したはずなのになんでこんなグッチャグチャに…。
実はこの問題を起きたきっかけの反政府組織
これら全てに資金提供をしていた国がいる。
それがカタールである。
カタールは中東全域にアルジャジーラで抑圧されている市民に解放を呼びかけ
立ち上がったものに金を渡していた。
しかし、自分は表舞台に立たず、決して手を汚さない。
サウジ「てめぇの国のアルジャジーラが流す自由な姿に憧れて、リビアやシリアの若者は民主化革命を起こしたんだ!」
カタール「知っていたさ。我が国に憧れを抱く国ほど御しやすい。だから私は彼らに資金を提供したんだ。」
サウジ「なっ…」
カタール「良い機会だ。一つ覚えておくが良い。イスラムの友よ。」
なぜカタールは他国の国家転覆を図るのか。
結論を言うと「現政権がカタールに不利なことするからぶっ倒して有利な国に変える」のが目的。
アメリカの得意技。反政府組織支援テンプレ。
例えば2010年ごろのシリアの場合
カタール「シリア経由でヨーロッパに石油を運ぶパイプライン作るよ!」
シリア「なんでカタールに進められないとイカンのだ。俺は俺で勝手にやるわ。」
カタール「シリア…。現政権のアサド大統領許さん!残虐行為をしてる独裁者ってイメージをアルジャジーラを通して振りまいてやるわ」アルジャジーラ「アサド大統領は畜生オブ畜生」
シリア国民「アサド大統領打倒すべし!」
中東諸国「アサド大統領打倒すべし!」
欧米「アサド大統領打倒すべし!」カタール「いい感じに盛り上がったところに反政府組織に資金注入だ!ホレ!」
イスラム国「ちわーす」シリア「ちょ…待てよ!これは印象操作だ!世界よ!目覚ませ!こいつらテロ組織やで!」
カタール「独裁者がなんか言ってまーすwwww」
という流れ。
強制催眠の力でもあるのか。こいつ。
事実、断交した国はアルジャジーラを強制遮断された。あぶねーし。
いやーテロ支援してたら断交やむなしだわー…
と思うからもしれないが、実は断交の大きな原因はそれではない。
3:なぜカタールは断交されたのか
結論から言うと「イランと仲良くしてた」から。
「あの子と仲良くしないで!」みたいな女子中学生の喧嘩かよ。
え、テロ支援の非難じゃないの!?
と思うかもしれないが、多かれ少なかれこのへんの石油産出国はテロを支援している。
カタールが色々なところに手を突っ込みすぎているだけで。
(↓テロ組織すらも利用する一般的な中東諸国政府の考え)
ではなぜサウジアラビア等はカタールとの断交に踏み切ったのか。
鍵となるのはイランである。
もう一度中東の地図を見るとわかるのだが、
このへんの大国はイランとサウジアラビアの二国である。
https://mainichi.jp/articles/20170103/k00/00m/030/090000c
この二国、宗派や文化の違いなどで仲が悪い。
サウジは偶像・人物崇拝絶対禁止だけどイランは部分的にはOKだったり。
昔はイラクがあって三つ巴でバランスが成り立ってたんだが
アメリカがぶっ壊しちゃったからしょうがないね。
(↓アメリカがイラクをぶっつぶした時の周辺中東諸国の反応)
で、サウジアラビア派には大きな味方がいる。
それがアメリカ。
事実サウジアラビア派の国にはアメリカ軍の基地が多数存在する。
カタールも中東最大の米軍基地がある。
アメリカは石油利権狙い。
アメリカは味方のサウジアラビアを支援するためにイランを敵視しているという流れ。
(↓中東での有事の際のアメリカ軍)
最近のカタールは
カタール「いやーイランちゃんも反省してるからさー。みんな許してやりなよー」
と宥和的な態度を取り始めている。
(↓イランに宥和的なカタールを攻め立てるサウジアラビア派の諸国)
なぜカタールがそんなことしているかというと
カタールはイランと海峡を挟んで隣国同士で国境近くの石油を共同開発しているのが原因。
つまり一緒にやってるプロジェクトがつぶれると大損害を被るので
今、イランに政情不安定になられると困る。
だからカタールは他のサウジアラビア派の国に比べてイランに甘い。
しかしその態度に他のサウジアラビア派の国々は激おこ。
他のサウジアラビア派の国々「イランと仲良くするようだったら、絶交だ!」
(↓ともにイランを倒してイランの地を山分けにしようと持ちかけるサウジアラビア派の諸国と拒絶するカタール)
こうして断交となった。
やっぱり女子中学生の喧嘩じゃないか。
サウジがカタールと断交、スンニ派同士でなぜ“兄弟げんか” | THE PAGE(ザ・ページ)
4:感想
カタールという新たな火種で中東はどうなるのか。
サウジアラビア派はカタールに断交&経済制裁で圧力を加えて折れるのを待っているが
カタール側もただで折れるわけにいかないだろう。
(↓断交という強硬手段でカタールを自陣営に引き戻そうとするサウジアラビア)
しかもカタールは抱えている米軍の数が多い。
ギクシャクされてたらアメリカも困る。
アメリカはこのまま指を咥えてみているのか。
はたまたイランの逆襲があるのか。
文科省のメモなんてどうでもいいので
今後は中東を注意深く見ていく必要がある。
謝辞
本記事を作成するにあたり、知人の月島さんから丁寧かつ熱心なご説明をして頂きました。
ここに感謝の意を表します。