家を買った会社の先輩が完全に養分になっていた話
数か月前に、会社の飲み会で先輩が『家を建てた』という話をしてきた。
「去年結婚したのに、もう家建てたんか」
と驚いたが、内容を聞いて更に驚くことになる。
その内容とは
- 東京から電車50分+バス20分のニュータウン
- 嫁さんが内装を拘った戸建住宅
- 内装にこだわったのでお金がかかって価格5千万円くらい
先輩は幸せそうな顔だったが、私は
「やべぇよ 先輩…クソ物件条件のオンパレードじゃねぇか。
多分20年後には資産価格が…」
とサーッと顔が青くなり、トイレに行くフリして先輩の未来を思い涙ながら合掌した。
多分、一生住宅業界の養分だな。
ダメだ…思い出すだけで心が痛くなってくる…。
そこに追い打ちをかけるように「君も家を買わないのか?」と言ってくる先輩。
やめてくれ…やめてくれよ…。
しかし自分自身は家を買うつもりは毛頭ないが、少しだけ気になる…。
そこで
「絶対に損しない!マンション購入セミナー」
といういかにも胡散臭いセミナーに行って、現状について聞いてきた。
(参加して登録した個人情報でDMや電話営業をされると困るので偽名で行った)
1:セミナーへの参加と講演内容
土日に不動産セミナーやってるとこ、無いかなー?
と思って探したところ
都内で土日にセミナーやってる企業は100社以上あった。
しかも前日なのに殆ど定員割れ。
こんなにセミナーやってて、店員割れがあるってことは、
「マンション売りたくてしょうがない」
ってことだからあんま売れてないんだな…
と、邪推しつつ家から電車で10分くらいのところでやってるやつに登録。
タイトル:「絶対に損しない!マンション購入セミナー」
うわ…胡散臭ッ…
(↓セミナーの紹介分はこんな感じの宣伝文句だった)
まぁダメだったらすぐに帰ればいいし。
と思い、当日行ってみると
20人くらい入る会議室に私含め5人しかいない。
私以外は40歳前後かな?
今どこもこんな感じ?
マイナス金利による不動産ブームもそろそろ終わりかな。
そのセミナーでは
- 東京の最近の状況を分析!
- 今マンション買うならこの駅の近郊!
の二本立てで説明が行われた。
話の内容を聞くにつれて、
やはり先輩は養分になってしまったのだ…
という思いを強くしていく。
2:現状の住宅状況
セミナーの内容は正直、私が普段読んでる新書に書いてあることと相違なかった。
(最近は不動産ブームのため、不動産関係の新書が多数出ている)
行ったセミナーや読んだ新書に書いてあることはほぼ同じで
だいたい以下の三つ。
一つずつ確認していこう。
・トレンドは職住近接!ベッドタウンはオワコン!
今、専業主婦はどんどん減ってきて共働きの家庭が圧倒的。
図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
また、晩婚化や高齢化等で単身者世帯も急増している。
今後も増える「ぼっち世帯」、2050年には4割超・うち過半数がシニアぼっちとの試算も(不破雷蔵) - 個人 - Yahoo!ニュース
つまり現役世代で昼間に家にいる人は殆どいない。夫も妻も都心のオフィスで働いている。
「夫に1時間半くらい通勤の負担を強いて、妻は専業主婦でベッドタウンで子育て」
という世帯はかなり少なくなっている。
そうなると人々は利便性を求めるためにオフィス近くの都心に住む事になる。
再開発も進んでいるのでそれなりに住むところがあるし。
これが最近流行の都心回帰のカラクリ。
また企業間でも能率アップにつながるとオフィスの近くに居住することを推進する事が始まっている。(サイバーエージェント等)
典型的なベッドタウンで、都心から1時間近くかかる郊外のニュータウンなんて
もう誰も見向きもせず、そのうち高齢者だらけになる。
ニュータウンからゴーストタウンになるだけ。
(多摩ニュータウンなどは既になっている。駅前だけ開発をして延命してるのが痛々しい)
最初に書いた家を買った先輩のように間違っても
郊外のニュータウンの戸建住宅なぞ絶対に買ってはいけない。
(↓高度経済成長期に建てられた郊外ニュータウンの現在)
・内装は関係ない!全ては立地で価格が決まる!
職住近接ということはオフィスへのドアツードアが短いほうが良い。
そこで重要になるのが最寄駅と家から駅までの距離。
都内の人々は殆ど電車移動なので最寄駅は重要で多数路線が乗り入れていて、
東京、渋谷、新宿、池袋、品川などにすぐ行ける事が重要である。
(30分以内に全て行けるのが理想らしい)
また最近の人たちは物件を探すときに
HomesやSUMOなどのサイトを使って物件を探す。
その際に重要になってくるのが
駅徒歩○分。
今、駅徒歩10分以内が必須条件になっており、
徒歩11分になると全く見向きもされない。
投資目的の場合、銀行が金を貸してくれない場合も。
内装や広さは殆ど関係なく、重要なのは99%立地である。
なのでいくら雰囲気が良くても
東京から電車1時間かつそこからバスで20分もかかるニュータウンに
家を買った先輩は論外である。
いくら内装にこだわっていても
そんなクソ立地じゃ誰も相手にしない。
(↓平均的な郊外ニュータウンの家)
・新築マンションは高すぎる!買うなら中古!
立地が重要なことは述べたが、今立地が良い新築マンションは1LDKでも5000万円を軽く超えているので手頃なものが少ない。
というかマンションの建設費なんぞ一戸2000万円くらいなので完全にボラれている。
現在、一般のサラリーマンが手頃な価格の新築マンションを買おうとすると
多摩、神奈川、埼玉、千葉の微妙な駅の物件を買う事になる。
(↓神奈川にある私の実家の近く)
しかし中古になると、立地に関わらず大して値段が変わらなくなる…らしい(セミナーの講師曰く)。
(特に10年経つとあんま変わらんという意見も)
「なので買うなら築浅中古物件!これで勝つる!」
というのがセミナーの売り文句。(この後、めちゃくちゃ中古物件を紹介された)
なお新書だと
「この状況で分譲マンション買うとか情弱すぎない?賃貸住みなよ」
という意見が多い。
どっちが正しいんやろなぁ。
しかし新書もセミナーも共通で言ってた事。それは
「郊外の戸建住宅とか誰が買うねん。あんなもん買うやつおらんやろ。」
事実、千葉ニュータウンの中古戸建とか下手すると土地付きで150万とかで売ってる時あるしね…。
先輩は…犠牲になったのだ…。
3:衝撃の事実
セミナーに行ったらなおさら先輩がみじめに見えるだけだった。
この虐殺ぶりは酷い。
更に昨日、飲み会で久々に先輩に話したら、
「海外転勤(インドネシア)の辞令が出てせっかく建てた家には半年も住めない事が決まった」
という衝撃の事実が判明。
オーバーキルすぎる…。
そして
「海外転勤で家を貸したいのに借り手がいない!」
と青ざめていた。
ようやく事の重大さに気付き始めたようだ…。
御気の毒に。
そりゃそうだ。
俺だってそんな僻地、通勤先が変わらない限り家賃3万円でも住みたくないわ。
でも先輩は、これから毎月15~18万くらいの払って返していくのか…。
(計算したら概ねそれくらいだと思った)
こんなことしか言えませんが、
「インドネシアでも頑張ってください。」
(↓違法中国漁船を爆破するインドネシア国防相。これくらいの仕事を期待してます!先輩!)
次回は「もはや限界? アニメの円盤ビジネス」について書きます。
<今回の参考図書>
マンション管理組合がウンコだとヤバイ事を教えてくれる本。
マンションを買う前か悩んでる人におすすめ。
なぜか不動産に異様に詳しい女子大生が出てくる小説。
団塊の世代の人達を脳内レイプしたい人におすすめ。
街単位にボロクソに批評する本。
吉祥寺disりをしたいならおすすめ。