テニプリでわかる天下り問題
各省官僚のトップである事務次官の首が飛ばされるという恐ろしい事件だった。
天下りって私が物心ついた時から問題になってるような気がする。
しかし、そもそも天下りって何が問題なのかキチンと説明してる本や記事が少ない。
そこでテニプリの氷帝学園を使って天下りの仕組みをざっくり説明する。
(青学じゃないのは三年と二年のバランスが悪いから)
氷帝省の人事構成
架空の氷帝省という省があると想定する。
氷帝省の人事は以下の通り
職 | 氏名 |
---|---|
大臣 | 榊 太郎 |
事務次官 | 跡部 景吾 |
総括審議官 | 忍足 侑士 |
審議官(猫駆除担当) | 日吉 若 |
官房長 | 宍戸 亮 |
人事課長 | 鳳 長太郎 |
アクトバット局局長 | 向日 岳人 |
うれC局局長 | 芥川 慈郎 |
ウス局局長 | 樺地 崇弘 |
OB | 滝 萩之介 |
大臣 榊 太郎
政治家。許斐内閣の一員。
事務次官 跡部 景吾
言わずと知れた氷帝省官僚のトップ。
3年生。
総括審議官 忍足 侑士
氷帝省官僚ナンバー2。
3年生。
審議官(猫駆除担当) 日吉 若
氷帝省官僚ナンバー3。(次期部長らしいので)。
2年生。
官房長 宍戸 亮
事務処理のトップ。(総務部門みたいなもん)
3年生。
人事課長 鳳 長太郎
人事権を握るポスト。今回の主役。
2年生。
アクトバット局局長 向日 岳人
絶大な権力がある局長クラスの一人。
アニメだと明らかに5m以上を垂直跳びしてる。
3年生。
うれC局局長 芥川 慈郎
絶大な権力がある局長クラスの一人。
3年生。
ウス局局長 樺地 崇弘
絶大な権力がある局長クラスの一人。
2年生。
氷帝省OB 滝 萩之介
影が薄いからOBにさせてもらった。
元3年生。
入省順で整理するとこんな感じ。
実際の省庁も年功序列のため、部活のように各年代の人がいる。
引退…そして…
そして時代がめぐって日吉が事務次官(部長)になる時がやってくる。
そうなると各省は年功序列なので、氷帝3年メンバーは玉突きで引退となる。
玉突きで引退になる理由は下の年代の優秀な人をピックアップして組織の新陳代謝を図る意味もある。
引退すると無職になってしまうため、再就職せねばならない。
(審議官や局長まで務めるとだいたいは引く手数多で、本当は課長クラスの再就職が問題になってる)
(↓再就職した跡部様)
では再就職する時にどのようなケースがあり、どれがアカンのか順を追ってみていこう。
普通に転職するケース。
このケースは問題ない。
というのも一般の民間人がリクナビ等に登録して再就職するのと変わらないからである。
また国家公務員法という法律で
「退職後2年間、自分の職務だったことと関連の深い営利団体(一般企業)に就職することが禁じる」
とされているので、例えば忍足が「テニス」と関係ある仕事についたら問題だが
結果は「セクシー俳優」という全く関係ない職業についたので問題ない。
「天下りって別に悪いことじゃないじゃん。元官僚優秀なんだし。」
と思ってる人はこのケースをおそらく思い描いている。
しかし世の中そんなにキレイじゃない。
違法なケース。
具体的には現役職員が再就職をあっせん。
その見返りに補助金などの名目で金を渡すというもの。
このケースは国家公務員法で禁じられている。
何がいけないのか普通の倫理観で考えればわかると思うが
- 企業間の公正な競争を妨げる事
- 実質、賄賂と変わらない事
が問題となっている。
今回の文科省のケース
さっきと何が違うかというと現役のメンバー(この場合は鳳)が関与していなく、
OBの滝が就職をあっせんしている。
「現役」を使わないことで法の目をかいくぐっている。
しかしこのケースは正直、前のケースと大して変わらないため
アカンでしょ!
って事は誰でもわかると思う。
だからここまで大事になっている。
じゃあ普通に法律通りやれば退官後は官僚も転職活動するんだ!
と今思った人もいると思うが、世の中そんなにキレイじゃない。
違法ではないがよくあるケース
氷帝省主導で謎団体をでっちあげ、そこに再就職させる。
このケースは合法である。
というかおそらく一番よくある。
さっきも法律で
「退職後2年間、自分の職務だったことと関連の深い営利団体(一般企業)に就職することが禁じる」
とされているのは述べたので要は営利団体すなわち企業じゃなきゃ良いのである。
そのため何が起こるかというと法律でこのような謎団体を作成しまくる。
この謎団体を一般的に「特殊法人」と呼ぶ。
で、この特殊法人、基本的には赤字だらけで税金で補てんしてるのが多い。
有名な特殊法人は以下の通り
高速道路の料金所のおっさんや、サービスエリアの微妙な飯を提供する奴らの元締め。
東京湾アクアラインなどのクソ道路による採算がとれない事業も多く抱えている。
・UR都市機構
賃貸・分譲住宅を提供する法人。
港北ニュータウン、千葉ニュータウン、越谷レイクタウン等のクソ微妙な街を作ることで有名。
微妙な街しか作らないため利益でまかなえる費用は全体の半分以下。
別名、農水省の貯金箱。
黒字だが、ここで儲けたお金で他法人に横流ししてる。
特殊法人の何が問題か。
今回の氷帝3年メンバーが再就職できるように「特殊法人」を作りまくればこうなってしまう。
特殊法人には税金が流れるため結果的に凄い金額の税金が垂れ流しになる。
この特殊法人作りまくり問題が天下りの一番大きな問題になっている。
しかしこの問題、実は民間の大企業でもよく起きていて謎子会社作りまくり。
「この木何の木?」の日立グループの会社の数くらい乱立しているのである。
なぜこれが起こるかというと年功序列でいらなくなったオッサンを子会社に出向させるからである。
所謂「片道切符」
半沢直樹で「出向」というキーワードが負の要素で使われていたのはこのため。
つまり出世コースから外れると子会社・関係会社に飛ばす。
社員からすると待遇が悪くなる。
世知辛いね!
まとめ
天下りの問題は日本の雇用制度の「年功序列」から問題を発しており、この制度を解消しない限り解決は難しい。
年功序列が崩れた
と世間では言われているが、日本社会の根幹である中央省庁や大手金融機関、大企業からは未だなくなっていない。
この年功序列の元になってるのは学生生活の部活だと思うので
全てのスポーツ漫画は滅んでくれ!
とさえ思う。
あ、テニプリはスポーツ漫画じゃなくてギャグバトル漫画だからセーフね。
次は「全米ライフル協会だけじゃない! アメリカの面白圧力団体」について書きます。
<今回の参考図書>
高度経済成長期の通産省官僚たちの苦闘を描く小説。
ドラマ化もされた。
官僚の仕事ぶりの片鱗がわかる。
元朝日新聞記者による特殊法人disり本。
民主党の事業仕分けを受けて書かれた本で、民主党政権もdisりまくり。
元厚生官僚が書いている本。
元官僚の本は変に礼賛したり、生理的嫌悪レベルでdisったりするものが多いなか、もっとも理性的に分析できてる本。