フェミニストは何故嫌われるのか?
ルミネのCM
ネットでルミネのCMが荒れてる。
内容は私から見ても「うわぁ...」ってものだったので炎上は致し方ないと思う
でももうルミネ側も謝罪したし、めでたしめでたし、かと思ったらまだ死体蹴りしてる。
しかも事が大きくなってフェミ二ストVSアンチフェミニストの戦争状態みたいになっちゃってるし。
一昔前から「フェミニズム」といえばネットでは格好のサンドバッグで「女はクソ」理論が横行していた。
フェミニズム=自分勝手な意見の総本山みたいな扱いだった。
でも、そもそも「フェミニズム」って何だ?
知らないで叩くのっておかしくね?
そう思って色々調べてみたのでまとめてみた。
フェミニズムの歴史
今、Facebook等で女性が
「フェミニズムなんていらねーよ。もう男女は平等だろ」
って掲げて同じ女性から賛同を得る事例が増えている。
womenagainstfeminism.tumblr.com
つまりもうフェミニズムは先進国では一定の役割を終えて円熟期に達したと言える。
そこまで来るのにどういった歴史を歩んできたのだろうか。
①黎明期:階級闘争時代(19世紀~20世紀中ごろ)
男を奴隷のように使う女性が多い現代だと想像しがたいが
かつては女性を奴隷にように扱ってた時代が存在したのだ。
「女は土間で飯を食え。」
とかそういう時代である。
ライトノベルの「ゼロの使い魔」の最初の方で貴族のヒロイン達が豪華な食事を食ってる横で庶民扱いの主人公は床に置かれた残飯食ってるシーンがある。
極端にいえばそのシーンを貴族=男、庶民=女に置き換えた状況に似ていたのであろう。
この時代の女性は選挙権がないし、教育も満足に受けられない。
つまり市民として認知されてなかったのである。
「同じ人間なのに市民権がないのはおかしい!せめて人間らしく!」
として、活動したのがこの時代であった。
まだこの状態にある発展途上国は多い。
イスラム過激派の「ボコ・ハラム」とか
「女性が教育を受ける意味はない!」
って主張して女学校襲撃して拉致して、奴隷として売っちゃったしね。
ただ日本を含む先進国は殆どこの時代は終わったと言える。
②発展期:差別撤廃時代(20世紀中ごろ~20世紀末)
1950年代頃から権利上、男女は平等になった。
日本も日本国憲法によって女性にも選挙権が与えられた。
しかし
女性「よっしゃ!男女同権になったから、バリバリ働くぜー」
ってわけにはいかなかった。
差別があったのである。
「女性は結婚したり、子供が出来たりすると退社するんでしょ」
という前提を元に制度上雇用や給与・待遇で男女で差をつけたりした。
総合職は男性しか採用しない。一般職は女性だけとかそういう奴。
女性は結婚して若くして辞める事が良しとされていた。
陰湿なところだと辞めるように嫌がらせ(ハラスメント)をしていたらしい。
今でもそういう職場はあるかもしれないが法律違反である。
1985年に制定された(1986年施行)男女雇用均等法で禁止されている。
ちなみに機動戦士ガンダム(1979)だと女性パイロットがほとんどいないのに
続編のZガンダム(1985)に女性パイロット(エマ、レコア、ハマーン等)が多いのはこの法律の影響である。
シロッコも「これからは女性の時代だ」って言ってるし。
今や女性の総合職とか珍しくないし、男性の一般職だっている。
日本では男女雇用均等法やその後の運用によって、この時代は一応終わったとされている。
(賛否両論あると思うが)
施行年あたりに就職した人も既に50歳近いし。
③円熟期:性的役割解放時代(20世紀末~現代)
権利も得たし、制度上の差別もなくなった。
よっしゃ、めでたしめでたし!
ではないのは皆さんの実感通り。
現実には男性のほうが圧倒的に管理職や役員は多い。
理系女子大学生が少ない。
専業主婦の数も多い。
これって差別じゃないの?
と思うかもしれないが、そもそも女性の希望を反映した結果という事例の方が多い。
広告業界や教育業界に女性が多いのはそもそも女性の応募者が多いから。
女性が少ない製造業は女性の応募者が少ないからである。
なぜかというと性的役割が決まっているから。
性的役割は社会的に期待されている性別の役割の事。
簡単に言うと
「男は、めそめそしない。家族を養うのが仕事。」
「女は、おしとかやかに。家で子供を守るのが仕事。」
という決めつけ。
職業別で言うと
「期間工は男。看護師は女。」
と言う決めつけ。
科目別で言うと
「物理や化学は男の学問。女性はやらない」
と言う決めつけ。
ルミネCMも
「女性は男に媚びるファッションをしたいんでしょ?」
という決めつけから起きた悲劇であった。
このような性的決めつけを撤廃する動きを
「性的役割解放(ジェンダーフリー)」
と言う。
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今、先進国ではこの運動が主たるフェミニズムだが殆どの国で苦戦している。
とりわけ日本は他の先進国と比べて非常に上手く行ってない。
性的役割解放(ジェンダーフリー)が上手くいかない理由
なぜ性的役割解放(ジェンダーフリー)の運動が上手くいかないのか。
理由は簡単に言うと「今までとやり方が異なるから」である。
今までのフェミニズムは
「男性が持っている既得権を女性にも明け渡せ」
というのが主だった。
例えば
「雇用や昇進の機会を女性にも渡せ」
と言ったもの。
だから女性側は失うものがあまり無かったのだ。
しかしこれからのフェミニズムは
「男性が持っている役割を女性にも明け渡す。女性も持っている役割を男性に明け渡せ」
がメインストリームである。
例えば
「妻が十分稼げるなら夫が専業主夫やってええやん」
「キャビンアテンダントって男がなってもええやん」
と言ったもの。
女性側も差し出すものが生まれたのだ。
この「女性側の既得権も差し出す必要がある」という認識があるフェミニストと認識がないフェミニストがいる。
さらに声が大きい古参フェミニストは発展期から闘っているので認識がない方が多い。
また日本は「男は黙って働け」という価値観が強く、女性も既得権を手放したくない人が多いのでそうなる傾向にある。
ここで現状と主張のギャップが生まれ、フェミニズムが遅々として進まない。
こう言った構図である。
なので現状のフェミニズムは
「古参フェミニスト(差別撤廃論者)VS新参フェミニスト(性的役割解放論者)」
という地獄絵図になっている。
事実フェミニスト同士の対談や共著本は全く意見が噛み合わず、だいたい喧嘩になっている。
読んでるこっちはプロレスみたいで面白いけど。
ミュータント同士で戦ってるプロフェッサーXとマグニートーかよ。
つまりフェミニズムが足踏みしてる理由は
- 今までのやり方が通用しなくなった。
- 既得権を失う可能性がある為、女性の支持を広く集めにくくなった。
- フェミニスト同士が意見の相違で喧嘩してる。
といった所。
フェミニストは何故嫌われるのか?
古参のフェミニストはこれらを認識せず
「フェミニズムが遅々として前進しないのは男性社会が悪い」
と一方的に決めつけてる方が多い。
これは「車が売れないのは若者が悪い」
と言ってるのと同一の思考停止による責任のなすりつけである。
これを若年層が
「時代錯誤な事言ってね?」
となっているのが、フェミニスト叩きの正体である。
つまり問題は男女間対立ではなく世代間対立。
そこを勘違いしている。
女性差別と男性差別はコインの表と裏である事を認識する時期に来ているのだ。
フェミニストは何故嫌われるのか?
その答えは
「声が大きい人が時代錯誤な方向で活動しているから」
である。
プロレス本↓