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自分が考えている事をまとめます。毎週木曜21時更新(予定)

名門私立校で考える「ゆとり教育」

名門私立校出身とは?

書店に行くと、気になる書籍が平積みされてた。
おおたとしまさ の「名門校とは何か」である。

名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件 (朝日新書)


中学受験が加熱するこの時代にヒットを狙った書籍であろう。

かく言う私も全国では無名だが神奈川の名門校出身なので興味を持った。
だいたいの同級生の進路が旧帝大早慶・医学部なのは多分異常だし。
ちなみに私もそれの内のどれか。

また大学、社会人になった後も気が合ったり、周りにいる人が所謂「名門私立校出身」が多いのも気になっていた。

だいたいは時事や趣味の話をすると
「そんな話してどうなるの?俺たちには関係ないじゃん」
ってなるところを彼、彼女らは身を乗り出して議論してくれる。
気が合った工場のおっさんですらよくよく聞いたら名門校出身だった(家庭の事情があったらしい)。

彼、彼女らの特徴は

  • 議論好き
  • 無駄なくらい知識豊か
  • 政治・ニュース好き

なのだが、このおおよそ日本人らしくない彼、彼女らは何故生まれるのか。

名門校の教育方針

「開成とか桜蔭とか言った名門校って全員ガリ勉なんでしょー?人生楽しいのかな?」
とか言う人がいるはそれは大きな間違いである。

「名門校とは何か」は各校の教育方針を列挙している本なのだが
そこで挙げている名門校の共通点は以下の通り。

  • 基本的に自由を尊ぶ。校則も緩い
  • 詰め込み型ではなく、議論中心のゆとり教育
  • 勉強は強要しない

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私の通ってた学校でも確かにこんな感じであった。
学年の半分くらいが髪の毛染めてたし。
ちなみに私もオレンジ→明るい茶髪→栗毛色 と来てた。

「こんな教育じゃペーパーテスト散々なんじゃないの?」
と思うかもしれないが、

「勉強ほっとんどしてませーん!授業聞くだけでーす」
って生徒でも偏差値65くらいを軽く叩きだしてた。

彼、彼女らがどのような生活を送っているかと言うと以下の図の通りである。

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二流校の教育方針

じゃあ二段階くらい落ちる学校(以後二流校)はどう言った教育方針かと言うと全くの逆である。

  • 校則が厳しい。
  • 詰め込み型教育
  • 勉強を促すために学力による階級づけ

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となっているらしい。

神奈川だと野球が強いところがだいたいこれ。

彼らの生活スタイルは名門校と異なっている。

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なんだか自由が無い。
むしろかわいそうなのはこっちである。
でも最近はこっちのが保護者ウケが良いから人気らしい。

なぜ名門を保てるのか

なぜ名門校がこんなにも「ゆとり教育」をしているかというと

  • 元々の学力が高い。(入学試験をパスしてるので)
  • 中高一貫校なので高校受験対策の必要がない。
  • 元々ブランドがあるので東大合格者等にこだわなくて良い。

等が挙げられている。

また、東大など上位校になればなるほどペーパーテストでも問題解決力が必要となる。
例えば小麦の生産量の上位3カ国を答える問題があったとしよう。

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東大の歴史の問題は殆ど小論文に近いし、記述問題は増加傾向にある。
この図は極端だが、近い形で差が出てしまうのだ。
差が出る理由としては得た知識の使い方にある。
つまり議論・小論文などで日ごろから知識のアウトプットをしている方が勝つ。

結果、詰め込み型教育VSゆとり教育は受験でも軍配が挙がる。

人柄重視で得するのは名門校

「でもセンター試験廃止とかペーパーテスト重視しない方針になってくるから名門校の地位も今後怪しいんじゃないの?」
と考えている人がいるかもしれないが全くの逆である。

toyokeizai.net
結局、論文・面接等を得意とするのはそのような教育を受けてきた名門校出身組なので差は拡大していく。

なぜ社会は論文・面接などを重視するようになったか。
それは

  • ネットの普及等で知識詰め込み型教育の価値が下がった。
  • 単純作業は機械に代行させるようになったのでホワイトカラーには問題解決力を求めるようになった。

等が要因である。

つまり、ゆとり教育は時代に即した教育方針だった。

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ちなみにイギリスでも役者も名門私立校で占められてしまって問題になっている。

この現象は世界的と言える。

bylines.news.yahoo.co.jp

ゆとり教育は何故失敗したのか

「なんだ詰め込み型教育はオワコンじゃん。良い事あんまないじゃん。」
と言って始めたのがゆとり教育であったが、結果はご存じの通り失敗と言っていいものだった。

失敗の要因は色々考えられるがおそらく以下が主な要因である。

  • 政府が具体的やり方を決めずに現場に投げた
  • 基礎学力を育成せずに考えさせても上手くいかない
  • 受験があるので短期的成果を求めがち
  • そもそも教員のレベルが低い(考える力がない)

このような失敗をしてしまったので今後、従来の詰め込み型教育に戻すらしい。
基礎学力を上げるのには賛成だが、社会に求められる考える力(問題解決力)を育成する方針がない。
社会に求められる考える力(問題解決力)を養わずに詰め込んでも、社会で必要とされる人間を育成できなくなるのでないか。

いくらインプットを詰め込んでも知識をアウトプットする方法を知らなかったらgoogleや機械に代用される価値のない人材が量産されるだけである。

皆は褒め称えるフィンランドの教育は、議論中心教育で「ゆとり教育」と言って良いもの(成績表というものがない)なので詰め込み型だけが正義ではないだろう。

www.kyoushi.jp